のぶらすです!
今回は注目の旬な
アカペラアルバムを1枚ピックアップ。

試聴@Spotify
フィンランド・ヘルシンキ最高峰の
Folk/Trad/Jazz/Pop アカペラグループ「Rajaton (ラヤトン)」
の『Tuhansien laulujen maa』だ☆

アルバムタイトル『Tuhansien laulujen maa (トゥハンシエン・ラウルイェン・マー)』の意味は、“The Land of Thousands of Songs (幾千もの歌の地)”?
2017年11月3日リリース。この2017年は Rajaton およびフィンランドにとって大きな節目の年だった。Rajaton 結成20年、そしてフィンランド独立100周年。そんな祝賀の年の終わりにリリースされた本アルバムには、過去1世紀フィンランドで最も愛された楽曲のアカペラカバーを集めたという。しかも、The Real Group (ザ・リアル・グループ) を含めて、豪華なゲストとの共演曲も盛り沢山。原曲を歌う本人がゲストリードパートとして編集されている曲もある!

#1: Paratiisi Feat. Rauli Badding Somerjoki
#2: Säkkijärven Polkka
#3: Romanssi
#4: Missä Muruseni On Feat. Jenni Vartiainen
#5: Päivänsäde Ja Menninkäinen
#6: Satumaa
#7: Murheellisten Laulujen Maa Feat. Martti Syrjä
#8: Rakkaus On Lumivalkoinen
#9: Satulinna Feat. Jari Sillanpää
#10: Puhelinlangat Laulaa Feat. Katri Helena
#11: Stormskärs Maja Feat. The Real Group
#12: Myrskyn Jälkeen Feat. Kari Tapio
#13: Albatrossi

早速購入してざっと聴いてみたところ、やはり期待を裏切らない最高のアルバムだ。
Rajaton の持ち味である壮大な民謡から、最近のポップソングまで、厳選されたフィンランドのヒット曲の数々を極上ハーモニーで味わえる。今は特に1曲目、3曲目、4曲目、7曲目、10曲目、そして12曲目が好き!

まずは、YouTube でも公開されているこの3曲を聴いてみよう!
#10: Puhelinlangat Laulaa


#1: Paratiisi

#12: Myrskyn Jälkeen

Rajaton はこれまでにフィンランド国内において、ダブルプラチナ1枚、プラチナ2枚、ゴールド8枚という金字塔を打ち建てている。今年2018年も更なる伝説を刻み続けるだろう。

そして

来年2019年10月~11月には、ラヤトン来日が予定されているという情報も

入っている! →ラヤトン Japan Tour 2019 詳細はこちら

【ラヤトン公式サイト】Rajaton
【ラヤトン日本公式サイト@ハーモニーフィールズ】ラヤトン

 
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レジェンド「Rajaton

1997年結成の混6声だ。1882年に創設された名門シベリウス音楽院の出身メンバーもいる。民族音楽・伝統音楽と、現代音楽のポップスやロックなどとを融合したアカペラで、国内外でヒットしているほかアカペラ界のグラミー賞といわれる CARA (カラ) も複数受賞。グループ名はフィンランド語で “boundless (バウンドレス/無限の)” という意味。無限の広がりをみせるハーモニー、繊細で有機的な奥深さ、その北欧サウンドが今世界的にも注目を集めている。発表したアルバムは日本版を含めて19枚、DVDは3枚(2枚)。日本でも映画『森聞き』や CM などに音源が使われている。彼らの「Butterfly (バタフライ)」は名曲中の名曲で、プロスケート選手がオリンピック演技に使用したこともある。愛・地球博を含め何回か来日しているが、2015年11月のクリスマス・ツアーも最高だった。僕自身は2007年に韓国で初めて彼らの歌声を聴いた。この17年間、生のアカペラを聴いて本当に文字通り “鳥肌が立った” のは実は彼らの歌声に対してだけだったかもしれない。そのときの曲は「Dobbin’s Flowery Vale (ドヴィンの花咲く谷)」だった。そのほか、大自然を表現した極寒の「Pakkanen (氷点下/氷小僧)」や幻想的に揺らめく「Aurora (オーロラ)」、後述の民族叙事詩カレワラに基づき、曲中にフィンランドの伝統の弦楽器カンテレの描写も登場する「Väinämöisen Veneretki (ヴァイナモイネンの舟旅)」や、歌詞にサウナが登場する(!?)疫病の歌「Surma (死)」もおすすめ。Rajaton 入門としてはまず、日本で出版された CD 付の絵本『ラヤトン 無限の森へ』(2011年) と、DVD 付の初の国内盤『北欧の森の物語 Nordic Forest Stories (ノルディック・フォレスト・ストーリーズ)』(2015年) を手に取ってみよう。一粒一粒の歌詞をじっくり味わえば、精錬された一流の歌声とフィンランドの文化や国民性が生み出す、静謐で深遠な世界が無限に広がるはずだ。ところで、ソプラノの Soila は先述のカンテレを弾いたこともあるとか! そして僕はテナー Hannu のロックボイスの大ファンであります。

 
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以下、アカペラのフリーペーパー『アカペラノオト 2016秋号』の “聴こう☆地球アカペラ紀行” コーナー「第3回:北欧フィンランド編」に寄稿させていただいた内容を、加筆・修正してお届けします。フィンランドのアカペラのエッセンスをぜひ。

フィンランドという国と音楽

今回の旅は、多くの日本人を惹きつけてやまない北欧の小国フィンランドから。
森と湖の国” と呼ばれ、陸地の約7割が森林で、約19万にも及ぶといわれる湖沼が点在。亜寒帯であるものの四季もあり、自然との調和を重視する国。また、世界で最も高緯度に位置する国の1つで、国土の4分の1が北極圏に属し、半年間は雪に覆われ、オーロラや氷河湖もみられる。ムーミン、サンタクロースサウナといった一般的なイメージから、高度な工芸デザイン、IT、キシリトール、教育先進国といった、最近ブームを巻き起こしている新イメージまで。ただ、まだ歴史は浅く若い国家といえる。地理的には、東はロシア・西はスウェーデンに挟まれた「東と西の間」の国。民族としてはフィン人のほか、アジア的な人種にも近いというトナカイの遊牧民サーミがいる。

フィンランドはまた “詩と歌の国” といわれる。今日非常に進んだ一流の音楽国で、オペラの分野でも国際的に注目されているという。また、夏にはたくさんの音楽フェスティバルが開かれる。民族的に忘れてならないのは、国歌とされるフィンランディアもつくった国民的作曲家「シベリウス」と、彼が素材にした伝説の叙事詩「カレワラ」 の朗踊の5拍子(3+2)。そのほか、伝統の弦楽器「カンテレ」、サーミの歌唱伝統「ヨイク」、「フィドル」の舞曲、叙情詩集「カンテレタル」。この地域の “長い歌” は、しばしば伴奏がなく、合唱というよりは独唱、あるいはリフレインをつけて、人間の声を味わい、詩や物語に聴き入るタイプが多いという。さらにヨーロッパ一般には、古くから民族音楽と伝統音楽の交流があったし、今のフィンランドのポピュラー音楽界でも民族音楽が取り入れられている。それから、特記すべきもう一点。本場サンタクロースの国なだけあって、伝統的なクリスマスの楽曲に秀でている。

フィンランドのアカペラ

なぜだろう。
このような背景をもつフィンランドのアカペラ、特にフィンランド語のものは、聴いていて親しみやすかったり、どこか落ち着いていて懐かしい気持ちになったりすることがある。その理由は3つあるかもしれない。1つは、その言語自体。フィンランドの国家語はフィンランド語とスウェーデン語。フィンランド語は、その周辺の国々の言葉と異なる “ウラル語族”。英語やスウェーデン語のようなインド・ヨーロッパ語族とは全く異なる異質な言語だ。日本人にとって馴染みやすい発音といわれ、発音に占める母音の割合が多いし、ほとんどローマ字読みをすればよい。文法上の性質も仲間。それから理由の2つ目として、森と湖といった自然との一体化。特に「森」が心の拠点で「木」が重要であるという点は日本に通ずるところがあり、自然豊かな視覚的な表象をも呼び起こす。さらに第3に、日本とフィンランドの間の共通項として、多民族国家ではなく、島国的な辺境の小国であるということもある。フィンランド人は日本のことを “ナープリン・ナープリ (隣の隣)” と言うらしい。地図では遠く離れているようにみえても、実は心近い国なのかもしれない。

“アカペラグループ” はフィンランド語で “Lauluyhtye (ラウルイヒテエ)” という。フィンランドは、3つの異なるジャンルで世界屈指のラウルイヒテエを有している。フォークないしトラッドの「Rajaton」、ポップやジャズの「Club For Five」、エフェクト・グラムロックの「FORK」だ。

都会の喧騒にうんざりしてしまいそうなときは、“森と湖の国” そして “詩と歌の国” であるフィンランドのアカペラを聴こう☆ 豊かな森のように優しいけれど凛とした、美しいハーモニー、親しみの湧くことばの響き、そして物語性のある詩に、北欧ロマンを感じる。

フィンランドのアカペラについてもっと詳しく知るなら →こちらの記事をぜひ!

 
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最後に

今回のアルバムの楽曲

について、簡単な調査結果を:
1曲目:Paratiisi (パラティッシ)。陽気で軽快なリズムの歌謡曲で、今一番のお気に入り。ゲストリードとなって編集されているのはなんと原曲を歌っている張本人 Rauli Badding Somerjoki さん。味のある声。
2曲目:Säkkijärven Polkka (サッキヤルヴェン・ポルッカ)。フィンランドで非常に有名な民謡らしく、ポルカの不可解で霊妙なメロディーとリズムの虜になる。原曲が映画『ガールズ&パンツァー劇場版』の挿入歌に使われて日本でもにわかに注目を集めているとか。
3曲目:Romanssi (ロマンス) 。おそらくバリトン Ahti がリードで、ゆったりとした曲調にベストマッチ。
4曲目:Missä Muruseni On (私の愛する人はどこ)。北欧らしいクリアで純度の高いコーラスが最高。特にイントロ! この原曲はゲストリード本人 Jenni Vartiainen (イェンニ・ヴァルティアイネン) の最近のヒット曲で、2010年に発表されフィンランド・シングル・チャートで1位を獲得した。
5曲目:Päivänsäde Ja Menninkäinen (白昼のジンジャーブレッド)。1948年ロンドンオリンピックで金メダルを獲得したフィンランドの陸上競技選手で歌手・俳優でもある Tapio Rautavaara (タピオ・ラウタヴァーラ)、1949年発表の穏やかな曲。ラヤトンらしさ溢れる落ち着いた静かでセンチメンタルなテイストだ。
6曲目:Satumaa (フェアリーランド) 。タンゴにほのぼの、弦楽器の模声が楽しすぎる。
7曲目:Murheellisten Laulujen Maa (悲哀の歌の地)。フィンランドのパンク・ロック・バンド Eppu Normaali (エップ・ノルマーリ) のメンバーであるゲストリード Martti Syrjä (マッティ・シュルヤ) が作詞した1982年のヒット曲。
8曲目:Rakkaus On Lumivalkoinen (愛は雪のように白い)。フィンランドのハードロック・バンド Yö の2003年のヒットを、ラヤトン風味に大変換!
9曲目:Satulinna (土曜日)。Jari Sillanpää (ヤリ・シッランパー) の1995年の楽曲のアカペラカバー。彼のデビューアルバムで最大のヒット曲だという。“サビの部分でテレサテンの「つぐない」が歌えてしまうということでフィンランド好きの間では知る人ぞ知る曲です。” とのこと。うん、歌謡曲っぽい雰囲気。
10曲目:Puhelinlangat Laulaa (電話線の歌)。Katri Helena (カトリ・ヘレナ) が1964年に発表。鼓動・躍動を感じるこのアルバムのスパイス!
11曲目:Stormskärs Maja (嵐の岩礁のマヤ)。スウェーデン最高峰のアカペラグループ The Real Group がゲスト。フィンランドで1976年に放送された “スウェーデン語” のドラマのテーマソング?? フィンランドの公用語のひとつがスウェーデン語であり、2国間の密接な関係が窺われる。そうそうこの曲、昨年ハモニポンでも紹介したアルバム The Real Group の『Elements』にも収録されてる!→Elements の詳細はこちら
12曲目:Myrskyn Jälkeen (嵐の後で)。Kari Tapio (カリ・タピオ) 1995年のヒット。
13曲目:Albatrossi (アルバトロッシ/ アホウドリ)。豊かな情景、深みのある字ハモがアルバムの締めにぴったり。




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